小アルカナについて

タロットカードの構成で説明した小アルカナについて、もう少し詳しくお話しておきます。

大アルカナの解説では触れませんでしたが、そもそも、「大アルカナ」とか「小アルカナ」といった呼び名は、初めて聞く人には何のことやらさっぱりわからないと思います。実は、私もこの呼び方には違和感があるのですが、名前がないことには区別できないので、やむを得ずこのように呼ばせていただいているのです。

アルカナ」というのはラテン語で秘儀とか奥儀を意味するそうですが、78枚のタロットカードのうち、22枚の絵札を「メジャー・アルカナ」とか「グレイター・アルカナ」、あるいは、「トランプス・メジャー」などと呼び、残りの56枚を「マイナー・アルカナ」、「レッサー・アルカナ」、などと呼びます。横文字で書くと長くなってしまうし、意味もわかりにくいということで、「大アルカナ」、「小アルカナ」と便宜的に呼んでいるわけです。最近では「大リーグ」も「メジャーリーグ」などと呼ぶのが普通になってきているので、タロットも「メジャーアルカナ」でもよさそうですけどね。「大」とか「小」と書くと、大きさのことかと思ってしまいますが、タロットカードのサイズはどちらも同じです。

では、今回は小アルカナについての話なのですが、小アルカナというのは、手品やカードゲームで使うトランプと似たような構成になっています。トランプではスペード、ハート、ダイヤ、クラブと、4つの組に分かれていますが、タロットでも同じように、ワンドカップソードペンタクルといった4つの組(スート)に分かれています。

小アルカナの4スート

4つの組は神秘学などで言う宇宙の4大元素(火・地・風・水)に対応します。これは占星術(占星学)にも同様の考え方があるのですが、ここでは詳しく説明しません。ユング心理学における4つのタイプとも対応していると考えられますが、ユングがどの程度タロットや神秘学との関連を考えていたかは不明です。

ワンドのエース

ワンドは木の棒です。左のカードの中央に描かれている棒がワンドです。4大元素の「」に対応します。木でできている棒は燃やせば火になると考えれば、わかりやすいでしょう。炎のような激しさや爆発的なエネルギーを暗示します。ユング心理学では「直観」にあたります。トランプとの対応を書きたいところなのですが、解説書によって解釈がまちまちなので、私も断言はできないのです。一般的にはクラブに対応するといわれていますが、トランプとの対応はあまり深く考えなくてもいいと思います。

カップのエース

カップは見ての通り、杯です。4大元素の「」に対応します。杯に満たすものは液体なので、すぐに水ということはわかるでしょう。水は涙のようなもの。体内を流れる液体(ホルモン)のように、人間の情緒に影響を与えます。ユング心理学では「感情」ですね。トランプではハートに対応するというのは、ほぼ定説と言ってもいいでしょう。

ソードのエース

ソードは剣です。4大元素の「」に対応します。風を切るような鋭い刃物。カマイタチのようなイメージでしょうか。人間の英知の結晶とも言うべきその剣で、人間は他者を支配し権力手に入れてきました。それは、人を殺すものであり、自分を守るものでもある。諸刃の剣はその二面性も表しています。武力を使わなくても、人は言葉で人を支配することもできます。そういった意味で、この剣の解釈には、知性や、言語・コミュニケーション、支配、征服、法律などといったものが含まれます。ユング心理学では、「思考」に対応します。

ペンタクルのエース

ペンタクルは星型が刻まれたコインです。金貨(硬貨)と呼ばれたり、ディスク(円盤)と呼ばれたりすることもあります。日本では一般的には複数形で「ペンタクルス」などと呼ばれていますが、ここでは他の組に統一して単数形の「ペンタクル」と呼ぶことにします。ペンタクルという言葉の意味は、星型、あるいは五角形、五芒星などとなります。4大元素では「(土)」に対応します。金貨などのイメージどおり、お金として解釈すると、お金というのは物欲の象徴でもあり、この世のあらゆる形を持ったもの(物質)の基盤となるものが、大地であると考えれば、「地」のイメージもつかみやすいと思います。大地というと不動のイメージがありますが、お金は流通するものであり、円形のペンタクルのイメージ(車輪のように回転する)からも、流動的なものとして解釈することもあります。ユング心理学では「感覚」にあたります。

小アルカナのそれぞれの組の内容もトランプと似ていて、エース(1)から10までの数字カードと4枚の人物カードの計14枚で構成されています。人物カードはトランプではキング、クイーン、ジャックの3枚だけですが、タロットではキング、クイーン、ナイト、ペイジの4枚になります。

小アルカナ1スートの構成

数字カードの方は、多くのデッキ(1組のタロットカード)ではトランプ同様、それぞれのシンボルとなるワンドやカップなどが、数字の数だけ描かれているのみなのですが、現代になって作られているデッキの多くには数字カードにも様々なイラストが描かれるようになっています。それぞれのカードの意味に関連したイラストになっているので、そのイラストから意味を連想して占うことができます。

人物カードのキングやクイーンはトランプでおなじみですが、ナイトは騎士、ペイジは従者(少年)を意味します。ナイトはもちろん男性です。ペイジの場合、性別は明確ではないのですが、男女平等のほうがいいということなのか、ペイジの代わりにプリンセスなどの女性のキャラクターを当てはめているデッキもあります。

小アルカナは大アルカナよりも重要ではないのかというと、そういうわけでもないと思います。大アルカナが人間の心の成長段階を表しているとすれば、小アルカナは人間が日常生活の中で実際に経験する様々な出来事を表していると考えればいいでしょう。特にこのようなものと決め付けることはできませんが、それぞれ表すものが違うだけで、小アルカナだからといって軽く見たりはしないほうがいいでしょう。タロット占いでは78枚の1枚1枚に、常に重要なヒントが隠されていると考えています。そのときの占いでどのカードが重要かというのは、占う内容次第ですね。

作成日時: 2005年07月28日(木) 22:15:23


片桐智のタロット占い