II 女司祭長 (The High Priestess)

II 女司祭長

大アルカナの2番目のカードは "The High Priestess"です。直訳すると、「高位の女性僧侶(修道女)」ですね。「女教皇」、「女祭司」、「女司祭長」などと呼ばれていますが、どれもしっくりとしません。というのも、そもそも女性の教皇というのは歴史上実在していない(伝説や非公認の女性教皇は存在します)ことになっています。祭司とか司祭とか言っても、いまいち日本人の私にはぴんと来ません。とりあえず、私は「女司祭長」と呼ぶことにしています。

多くのデッキでは、実際に教皇(法王)の姿をした女性が描かれていますが、このカードの場合は特に教皇と断定できるシンボルはありません。少なくとも、このカードを「女教皇」と呼ぶのは無理があるので、「女司祭長」と呼んでいるわけです。読み方は「じょしさいちょう」でも「おんなしさいちょう」でも、どちらでも良いと思います。後者の方が理解しやすいのですが、何となく響きが良くないので、私は主に前者の呼び方を使います。

カードに描かれているのは、水色のガウンをまとった物静かな女性です。胸の辺りにはギリシャ十字のシンボルが見えます。頭にかぶっているのは月の冠で、女神イシスの図像をモチーフにしたものです。足元にも三日月形の物体が置かれています。このため、女司祭長は女神イシスと同一視されることもあります。書物を手にしており、一部は衣服の陰に隠れていまが、"TORA"という文字が書かれているのが見えます。左右に黒と白の柱があります。白い柱には"J"の文字が、黒い柱には"B"の文字が書いてあります。それぞれヤキンとボアスを意味しており、ソロモン神殿にある一対の柱に由来するそうです。ある説明によれば、「ヤキン」は「確立」を、「ボアス」は「力」を意味し、この2つを結合することで「安定」が生じるということになっています。また、別の解説では、「ヤキン」は「神の愛(慈悲)」を意味し正の極性を持つもの全てを象徴しており、「ボアス」は「神の試練」を意味し負の極性を持つもの全てを象徴しているともあります。柱頭にはザクロのガクの部分がデザインされていますが、その形が王冠に似ていることから、ザクロは権威の象徴でもあったようです。この2つの柱の間にそのザクロの刺繍が施されたベールが掛けられています。ザクロは種子を多くはらみ、ぎっしり詰まっていることから「豊穣」と「多産」、「希望」と「不死」の象徴ともされています。また、「知識の木」とも呼ばれており、どうやら、このあたりが女司祭長と関係がありそうです。このベールの向こう側には、泉が広がっています。これは「知識の泉」であり、女司祭長は、その泉を守っているのです。

非常に神秘的なデザインですね。月のシンボルが描かれていることからもわかるように、占星学的にもが関連付けられています。女神イシスに象徴されるように、女性性を表したカードといえます。この後の3番目のカードである「女帝」も女性のカードで、その意味を混同しがちですが、ユング心理学の元型(archetype)に基づいて、女司祭長を「アニマ」、女帝を「グレートマザー」だと解釈すれば、その違いを理解しやすいかもしれません。アニマというのは、男性が抱く理想の女性像、または、男性の無意識の中にある女性的な面です。グレートマザーは母なるものの象徴です。

「愚者」は野心や欲望を抱くことで「魔術師」となります。何かを成し遂げるためには、「魔術師」のような動機が必要ですが、欲望のおもむくままに行動すれば身の破滅を招くだけです。そこで、「女司祭長」が知性と理性によって、欲望をコントロールすることになるのです。

カード名 II 女司祭長 (The High Priestess)
秘密の名前 銀の星の女司祭 (Priestess of the Silver Star)
天体 月 (Moon)
占いにおける意味 女性性。神秘的。智慧。深い学識。強い研究心。変化する状況。女性からの援助、助言。オカルト。秘教。神秘主義。精神世界。静寂。
作成日時: 2005年08月15日(月) 17:49:53


片桐智のタロット占い