IV 皇帝 (The Emperor)

IV 皇帝

大アルカナ4番目のカードは "The Emperor" です。日本語では「皇帝」ですね。このカードも歴史上の人物に照らし合わせてイメージすることができるので、解釈はそれほどむずかしくはないと思います。

四角い石造りの玉座に座る皇帝。玉座には羊の頭の彫刻が施されています。右手にはセプター(王笏)、左手にオーブ(玉)を手にしています。王冠をかぶり、赤いローブに身を包んでいますが、その内側には鎧を身に着けています。背後には険しい山が見え、空は赤く染まっています。

非常に厳格なイメージのあるカードです。セプターは権力の象徴で、彼が支配者であることを表しています。オーブは理性の象徴で、世界を秩序に基づいて組織化する能力を表しています。ローブに身を包んでいながらも、その内側に鎧を隠しているのは、彼の攻撃的な性格を象徴しています。いざとなれば、いつでも出撃できる体制にあるということですね。いつゲンコツが飛んでくるかわからない、恐い親父みたいです。そんなオヤジ、いまどき見かけないかもしれませんが・・・。

占星学との関連では、黄道十二宮の「白羊宮(Aries)」に対応します。いわゆる「牡羊座」ですが、実際に天球上に見られる星座の位置と占星学における十二宮の位置は一致しておらず、現在では星座約1つ分ずれています。そのため、天文学的な星座と、占星学的な星座を区別するために、それぞれ別々の呼び方をしています。確か、「白羊宮」などといった呼び方は中国語で表記したものだったと思います。

このカードには「」のイメージが強いのですが、赤は血や炎を連想させ、戦争のイメージと結びつきます。それは、白羊宮の支配性が「火星」であることを考えれば、うなづけるものがあると思います。火星というのは戦争を表す星で、実際に夜空に見える火星も赤く不気味な色をしています。この皇帝の赤は、まさに火星の赤のイメージそのままだと思います。ホルストの組曲「惑星」の1番目に「火星:戦争をもたらす者」というのがあるのですが、皇帝のカードにはこの曲がよく似合います。

ただ、占星学的に火星に対応するカードは「XVI 塔」ということになっているので、ここではあくまで、「白羊宮」のイメージで皇帝のカードを見ておきたいと思います。玉座に施された装飾が羊の頭になっているので、白羊宮の対応であることはひと目でわかります。白羊宮は外向的(男性的)な星座宮です。カーディナルサインに属し、活動的な性質を表しています。また、火・土・風・水の四元素のうち、「」の属性にあたり、燃えるような激しさも持っています。カードに描かれた皇帝のイメージそのものですね。

皇帝は、3番目に出てきた女帝の夫たる人物です。女司祭長や女帝といった女系のカード後に皇帝という順番は、皇帝の方が劣っているという意味ではなく、かつての女(母)系社会を皇帝が支配して新しい社会が生まれたことを意味します。男女平等といわれる現代でも男尊女卑の風潮はなかなか抜け気ってはいませんが、歴史的には、男性が世界を支配するようになる前は、もともと女性が優位だったのです。地母神信仰などがそれにあたると思います。ギリシャ神話で言うならば、ガイアから生まれたウラヌスが「皇帝」にあたるといいたいところですが、ウラヌスはまだガイアの力が強かった時代の配偶者に過ぎず、後のクロノスの時代になってようやく男性の力が優位な時代となります。ゼウスが登場するころには、完全に父権社会となっています。日本の場合にも、天皇の支配が始まる前に、女王卑弥呼の時代がありましたね。

ユング心理学的には女性が抱く理想の男性像としての「アニムス」に近いイメージがあると思います。「魔術師」のカードをアニムスと考える人もいるようですが、実際のところ、男性である私にはアニムスの概念は理解しにくいものなので、現段階では深く追求しないことにしておきます。

愚者はここにおいて、単なる形ある世界から、秩序のある世界へと至ります。

カード名 IV 皇帝 (The Emperor)
秘密の名前 暁の子 (Son of the Morning)
万能主の首領 (Chief among the Mighty)
星座宮 白羊宮 (Aries)
占いにおける意味 権力。威厳。厳格。理性。意志。野心。支配。決断力。リーダー・シップ。争い。戦争。征服。父性。精力。創造的活力。自己制御。
作成日時: 2005年08月30日(火) 04:47:04


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